教育、学び、そして学校 〜 86

公開: 2024年4月23日

更新: 2024年4月23日

注86. 日本型の教育制度

日本の教育制度は、能力別のクラス編成ではなく、年齢を基準に生徒をカラス別に編成し、様々な知識水準の生徒を、一人の先生が教育するやり方をとり、授業の達成度評価は、生徒全員に同じ問題を解かせて、その正答率を調べます。このとき、正答率は、生徒が正しいと答えた回答の正解率を見ます。米国などでは、正解率も問題にしますが、誤って解答した、誤答率も問題にします。また、正しいと考えられる複数の解答と、誤っていると考えられる複数の解答を全て選び出し、それらが完全に一致しなければ、その問題を理解しているとは判断しない方法を採用する例もあります。さらに、正しい解答をした場合には加点し、誤った解答をした場合には、減点する方式を採用することもあります。特に、減点の場合に、その点数を加点の場合よりも大きくすると、完全に理解していない場合にも、正しい答えとするような、偶然による正解を取り除くことができます。

単純な加点方式の試験に慣れている生徒に、減点方式の試験を課すと、平均点は、極端に低くなります。それは、問題の内容を完全に理解し、吟味しなければならなくなるからです。減点法では、平均点は、0点を少し上回る成績になりますが、単純な加点法では、50点を上回る成績になります。しかし、日本人の生徒に減点法の試験を課すと、平均点が、マイナスになる例は少なくありません。それは、正解を知らなくても、デタラメに答えを選択するように、教えられているからです。

また、日本社会では、生徒たちの試験結果を、評価点の上位から下位へと、順番に並べて、その順位で評価するやり方が採用されます。これは、一見、公平な評価に見えますが、試験結果は、一般的に、試験問題によって変化します。問題の難しさは、それに答える生徒によって、しばしば変化するからです。このことは、正答率の順位が、そのまま生徒たちの知識の水準を表しているとは言えないことを意味しています。試験の回数を多くすれば、その総合点は、客観的な評価に近づくでしょう。しかし、現実は、1回か、ほんの数回の試験の結果だけです。とても、公平な評価とは言えないでしょう。特に中位の成績の人たちの順位については、結果は、偶然に大きくさゆうされます。

参考になる資料